ミシン選びは糸調子から
店頭でお客様とお話をしていて、ミシンについてのお悩みで一番多いのが、糸調子です。
上糸がつった、緩かった、下糸が・・・・。
糸調子が狂うと、それを調整するのに四苦八苦して見えます。
糸調子を合わせるとは、縫い目を美しくするために上糸と下糸のバランスを合わせることを言います。
糸調子を合わせることを目的に修理にお持ちになる方もお見えになります。それほど糸調子を合わせることは面倒な事です。垂直釜のミシンは特にそうです。
ミシンの購入に当たりミシンの選び方として最も大切なことは、簡単な操作できれいに縫えることですから、糸調子の問題が基本的大問題。一丁目1番地の問題と言えます。
ですから、自動糸調子のミシンの良さについてご説明すると、たいていのお客様が納得いただいて、「そんなミシンを希望していたんです。」と、自動糸調子のミシンをご購入いただいています。
水平釜ミシンの糸調子について
水平釜ミシンの糸調子は、原則として上糸の調子をとります。(下糸の糸調子も調整できるのですが、ミシン初心者は触らないで下さい。)
上糸がゆるい(下糸が強い)時には上糸糸調子ダイヤルを強く(数字を大きく)します。
上糸が強い(下糸が緩い)時には上糸糸調子ダイヤルを弱く(数字を小さく)します。
試し縫いをしながらこの操作を繰り返し、一番きれいに縫える糸調子を探します。
なんだか面倒ですよね。
そろそろ私がなぜ自動糸調子をおすすめするのかおわかりになったと思います。
ミシンを使っていく上で、最も大切で最もめんどくさいのが糸調子。そしてそのお悩みを解決してくれるのが自動糸調子なのです。
かつて自動糸調子のミシンは高値の花で、ミシンの購入に当たって初心者の方にはおすすめしにくかったのですが、今では自動糸調子ミシンもずいぶんリーズナブルになりました。
ミシンの選び方の基本は糸調子。
出来るだけ自動糸調子のミシンをお選び下さい。(自動糸調子の仕組みも一通りではなく、価格の高いミシンのほうが精度の高い糸調子になってます。)
垂直釜ミシンの糸調子について
最近、ブラザー、ジャノメ、JUKI、シンガーなど主な国産メーカーの家庭用ミシンに垂直釜ミシンはありません。
垂直釜ミシンの糸調子の調整は、水平釜のミシンの糸調子と同じように上糸の糸調子を調整することに加えて、下糸の糸調子も調整しなければなりません。(ボビンケースのねじをドライバーで回して調整します。)
水平釜の糸調子でも面倒に感じるのに、さらに下糸も・・・。糸調子を調整する時の負担感は何倍にもなります。
ですから主な国産メーカーは家庭用ミシンから垂直釜ミシンを廃番にしてきました。
但し、垂直釜ミシンには「1分間に1000回転以上の高速回転で4時間5時間縫い続けてもトラブルが起きにくい」という長所があります。
それで工業用ミシンと職業用ミシンは垂直釜を採用しています。
垂直釜ミシンの長所を根拠として一般的なユーザーに対して2~3万円程度の垂直釜ミシンを進めている人がいるようですが、私は疑問を感じます。
ヘビーな仕様について垂直釜ミシンのほうが水平釜ミシンよりすぐれているのは事実ですが、それはあくまで極端な使用方法の結果であって、一般的なユーザーが使っていてトラブルは起きません。
はぎ手芸店の店頭で、スタッフが毎日2台の家庭用ミシンを4~5時間縫い続けていますが、水平釜であることを根拠にするトラブルは一度もありません。
さらにはぎ手芸店の数名の内職さんも同じように使っていますが、トラブルは一度もありません。
つまり「ヘビーな仕様について垂直釜ミシンのほうが水平釜ミシンよりすぐれている」のは理論上の話であって現実的ではないと言うことです。
ですから主な国産メーカーは垂直釜ミシンを廃番にしたのです。
水平釜でトラブルが起きそうなお客様は職業用ミシンか工業用ミシンを検討するべきであり、2~3万円程度の垂直釜ミシンでは間に合いません。
ミシンは決して安い買い物ではありませんし、買ってしまえば自己責任です。
ミシンの購入はよく考えて、出来れば信頼できる方に相談して後悔のない1台をお選び下さい。
また次の機会には、ミシンの購入について別の切り口からお伝えしたいと思います。いろんな情報をお伝えして、正しいミシンの選び方につなげていただきたいと思います。
私のおすすめミシン
ジャノメ PE860 ミドルクラスのコンピューターミシンです。
初心者の方もミシンの購入の際、候補に挙げていただきたい1台です。簡単に使えてきれいに縫えますし、自動止め縫い 自動糸切りを初めうれしい機能満載です。
裏技をひとつ
カタログのどこを見ても書いてありませんが、オプション部品のレンズ(拡大鏡)を付けることが出来ます。
もう少し上級機種(DC6030など)でないと取り付けできないオプションなのですが、なぜかPE860に取り付けることができます。
私たちの世代(老眼)にはうれしいオプションです。